光触媒により有害な有機化合物を分解するには,まずその物質を光触媒粒子表面に吸着させなければならないため,この吸着能は光触媒性能にとって重要です。天然の粘土鉱物には有機化合物をよく吸着するものが多くありますが,光触媒としてよく知られている酸化チタンは粘土鉱物と比べると吸着能が低いのが欠点です。このため実際にトリクロロエチレン(TCE)を光触媒分解した場合,ホスゲンなどの有害な中間生成物が発生します。発生したホスゲンは酸化チタン表面から脱離し,再び酸化チタンに吸着しなければ分解することができません。粘土鉱物を用いて酸化チタンの吸着能を高められれば,この中間生成物を放出することなく表面に吸着されたまま完全に分解することが可能です。
酸化チタンの原料であるチタンアルコキシドのゾルに球状の粘土鉱物アロフェンを超音波分散させ,ゲル化後,水熱処理および焼成を行うことにより,アロフェンと酸化チタンとの複合体を作製することができます。通常の酸化チタンを用いたトリクロロエチレン(TCE)の光触媒分解ではホスゲン(COCl2)等の有害な中間生成物が発生するのに対して,酸化チタンにアロフェンを複合化させると,COCl2の放出を著しく抑えることができました。TCEは酸化チタン上でジクロロアセチルクロリド(DCAC)またはCOCl2に変化した後即座にアロフェン吸着され,酸化チタンへと表面拡散した後に徐々に分解されます。

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